哲 学 食 養 生
                                                    内科医  納  利 一  (68歳)
               メタボなどの養生は、2つあるものは
               おしみなく、1つあるものはつつましく。
 「食事とは何か」を哲学すれば、食事に対する考え方がリセットされ、食生活が
健康になる。食生活の健康から生活全体が健康になり、心も体も健康になる。
これを「哲学食養生」と名付けたい。
 仏の悟りも腹8部ではなかろうか。王子様としてお生まれになったおシャカ様が
生物を食べなければ生きていけない御自分を反省されて「食事とは何か」を考え
はじめられたのではなかろうか。出家され、何も食べずに修業されたところお腹
がすいて死にそうになり、考えもまとまらない。そこで少しの食事をされたところ、
「なるほどそうか」と気づかれたのが少欲知足の思想であろう。自分も地球上に
生かされている生命の一つである。生かされている間は生きていくべきなので
はなかろうか。自分も死んだら動物に食べられ、土に帰り、植物の肥料となっ
て、後世の生命の材料として役立っていくであろう。おシャカ様はこのように考
えられたのかもしれない。
 「2つあるものはおしみなく、1つあるものはつつましく。」これはお坊さんの言
葉である。2つある足でよく歩き、2つある手でよく働き、1つある口でつつましく
食べる。これこそメタボの養生のコツであると思い「メタボなどの養生は」と題を
つけてみた。2つある目でよく見、2つある耳でよく聴いて、1つある口ではつつま
く少しだけ話すとの意味もあるようだ。
 たばこに対する考え方がリセットされるとたばこを吸いたい気持が消えてしま
うのがリッセット禁煙である。「たばことは何か」を哲学させるわけだから、哲学
禁煙と名付けてもよかろう。生活習慣病はじめ、すべての病気の養生や治療
に哲学を応用できるであろう。哲学養生、哲学療法とでも言えよう。その一つ
が哲学食養生である。
    2008年(平成20年)7月3日 この文章を鹿児島県医師会報に投稿しました。
  鹿児島県医師会報第686号(平成20年8月1日発行)に掲載されました。
清流の健康哲学ポスター