農村と都市がペアになって
                          内科医  納  利 一 (57歳)
 教育とは何か。病んだ社会に子供たちを適応させることが教育ではなかろう。
子供たちが健康な社会を築き、健康な生涯を生き抜く体力と知恵をはぐくむこ
とが教育であろう。
 人類社会が大きく変わろうとしている。過去の延長線上に未来がないことは、
だれの目にも明らかである。原点に返り、人間とは何か、社会とは何かを問い
直し、新世紀を開く新世代と子供たちの生活全体を考え、できるところから実行
に移すべきであろう。
 生まれて、育てられ、子供を産み、育て、年老いて生涯を閉じていく過程が安
心であれば、その地域社会は健康であるといえよう。健康な地域社会づくりのこ
とを「むらまちづくり」と呼びたい。
 農村の校区と都市の校区がペアになって協力していけば「むらまちづくり」が実
現するであろう。そうして安い費用で質の高い教育と保健と福祉と医療が実現し
ていくであろう。そう思えてならない。
            1997年 平成9年6月11日 南日本新聞 「ひろば」 より転載
むらまちづくり甲突川