未来の社会と夢の税制
                         内科医  納  利 一 (49歳)
 消費税がスタートした。税に対する関心がにわかに高まってきた。
これほど制度が複雑になれば、集めるための費用も多大なら、また
分配するための費用も膨大になろう。リクルート問題なども、お金を
集めて分配する仕組みの副作用の一つであるとも言えよう。
 交通と通信の発達で世界が一つになってきつつある。異星人が宇
宙戦争でも仕掛けない限り、未来の国際社会は内政だけの社会で
ある。ほかの社会との競争はない。未来の人類の共通の目標は「こ
の地球をいつまでも生物をはぐくむ星として守っていくこと」であろう。
 議会などは社会の共通の目標に対する企画会議のようになって
いるであろう。一つ一つの企画に対して寄付・献金を募る。企画が
良ければ、お金が集まり、実行に移せる。集まらなければ考え直す。
納税者はそれぞれの企画に対して寄付・献金する。自主的に払った
人は気持ちがよくて、払わない人でも催促されない。払いたい人が
払いたいだけ払えばよい。未来の社会の夢の税制を夢想してみた。
      1989年(平成元年)4月20日 南日本新聞「ひろば」 より転載
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