半世紀後、江戸時代の世が
                                                                           内科医  納  利 一 (55歳)
 「歴史逆行SF 2050年は江戸時代」。石川英輔著、PHP研究所発行が目に留まった。
 明治・大正・戦前昭和・戦後昭和・平成と近代化の道を走り続けた日本。工業国となり、
食糧を外国から輸入する貴族国家となった。
 これからの20年で、他のアジア諸国が日本を追い抜き、良質の工業製品を安くつくれ
るようになっていく。そうなれば日本の工業製品の輸出は止まってしまうわけである。
輸出するものが無くなれば、当然、輸入できなくなる。
 仕事が次第に無くなり、物価が高騰し、都会での生活が苦しくなっていく。自分が食
べる物だけでも自分で作れば安心だ、と農村に帰る人が増える。そうして、いつのま
にか江戸時代に似た自給自足の農業国になっていく。
 これはSF小説であるが、現実になりそうな気がしてならない。
                                      1995年 平成7年2月28日 南日本新聞 「ひろば」 より転載
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