分 を 知 っ て 分 を 尽 く そ う
                                      内科医  納  利 一  58歳
 
 人間社会の健康はどうすればよいか。たとえば、公的介護保険制度が始まった場合、
社会がますます不健康になっていくような予感がしてならない。なぜだろうか。
 国は世界的戦国時代に外敵から国民を守るための組織であった。地球的調和時代
に向かうこれからの世界が、国が、県が、市町村がより健康な姿に変わっていこうとし
ているのが、行政改革であると言えよう。
 いのちの入れものであり、いのちの「かけはし」である人間を、家庭を、親族を、地域
社会を崩壊させて、それらの代わりまでを国にさせようとしても、できるはずがない。国
の分に過ぎることを国に期待してはいけない。
 一人ひとりの人間はどうあるべきか。家庭は、親族は、地域社会は、市町村は、県は、
国は何をすべきか。何をすべきでないか。それぞれが分を知り、分を尽くしていくことに
よってこそ、社会の健康が実現していくであろう。
                  1998年(平成10年)2月7日 南日本新聞「ひろば」 より転載
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