私 と は 総 合 作 品 で あ る 
                                                  内科医  納  利 一 (65歳)
  哲学の物語「ソフィーの世界」の最初の問いが「あなたはだれ」である。私とは何か。このような問いを
考え続けることが哲学なのだそうだ。病気は人を哲学者にする。そのとき、適切なアドバイスをして、納得
に至るまで考え抜かせることで神経症などを治す「哲学カウンセリング」と呼ばれる医療の分野がある。
  日本老年医学会認定老年病専門医の福田正臣先生が先日、ロータリークラブの地区大会で「百歳長寿と
いうのは、人間が自分につくり得る最高の作品だ。しかも、総合的な生活のたまものであって、総合作品だ」と
講演された。
  そうだ、私とは総合作品。生涯に出会うみんなのおかげで出来上がっていく総合作品なのだ。おかげさまです。
ありがとうございます。私もまた出会うみんなの作品づくりに参加していくことになる。あなたも私も総合作品。
家庭も職場も総合作品。地域も世界も総合作品。みんなでつくる、みんなのための総合作品。
                                                         南日本新聞「ひろば」 2007年 平成17年7月2日 より転載