東洋のこころが健康な地球を生む
                                内科医  納  利一  (52歳)
 相対性理論で有名なアインシュタイン博士が「東洋に日本という国が存在し続け
てきているおかげで、人類社会は滅亡しなくてすむかもしれない」と、日本への期
待を述べられたそうである。それを受けて日本人で最初にノーベル賞を受賞した
湯川秀樹博士が、今こそ明治の廃藩置県を世界的に実行すべき時であると思わ
れたそうである。それから世界連邦湯川懇話会が誕生し、現在湯川スミ夫人が
世界連邦世界協会(38カ国参加)名誉会長として博士らの意志をついでおられる。
 環境問題に直面して、いよいよ地球が死の星になるかもしれないという心配をだ
れもが実感させられるようになった。そこで「地球を生命をはぐくむ星として永続さ
せたい」が世界中の人々の共通目標として自覚されつつある。この共通目標のも
とに世界が一つになり、健康な地域社会が出現してほしいものである。そのため
には、まず西洋の精神(自由・平等・博愛)に東洋のこころ(慈悲)を加味すること
で、人間と社会と自然が調和していく道を開いていくべきであろう。
 この東洋のこころを世界に普及させること、これこそ博士らが日本人に期待して
おられたのではなかろうか。
                  1992(平成4)年1月3日 南日本新聞「ひろば」 より転載