モットモット病自覚して健康に
                                  内科医  納 利一 (69歳)
 毎月1回、鹿児島市の甲南中学校で開かれている三方限古典塾(塾長・別府義昭
同中元校長)が10月で満3年、36回目になる。多くの偉人を排出した荒田、上之園、
高麗の三方限(地区)がその名の由来だ。
 2500年前の老子など、数々の古典には社会の病気とその治療法が書かれている。
昔からあった社会の病気が、いよいよ重症化している昨今である。人類社会を健康
に永続させたい。
 現在に生かされている私たちが、どう考え、どう行動するかで、人類の運命が変わ
る。人間とは何か、人生とは何か、社会とは何か、自然とは何か、古典に学び現在
と未来に生かしたいと思う。
 「少欲多幸」の等式というものがある。手に入れる物や金などを欲望で除した値が、
幸福の度合いだそうだ。手に入れる物や金がほどほどでも、欲望をより少なくすれ
ば幸福が多くなる。手に入れる物や金などをいくら多くしても、分母の欲望が「モット
モット」と多くなっていけば、幸福が少なくなる。
 この「多欲少幸」の悪循環が、「モットモット」病である。
 生涯完治することのないモットモット病の患者である自分を自覚して、その軽症化
を願い続けることから、社会の健康づくりの道が開けるのではなかろうか。
 人間とは、モットモット病の患者である。人生とはモットモット病のコントロールである。
            2009(平成21)年9月29日 南日本新聞「ひろば」 より転載
三方限古典塾
哲学内科の哲学コーナー