| 現代葬儀考 メッセージに託す生きた証 |
| 内科医 納 利 一 (56歳) |
| 人生とは時間の、空間の、かけはしであるとも言えよう。太古の昔から連綿と続いてきた |
| いのちを未来へと伝える、かけはしとして「束の間の人生」を生かされている私たち。 |
| 今回のテーマ、葬儀とは何だろう。私たちはなぜ葬儀をするのであろうか。一人ひとりの |
| 個人の人生は有限である。消えるいのちもあれば生まれるいのちもある。地域社会はい |
| のちのバトンタッチの場である。いのちのバトンタッチを意識する場が葬儀であろう。 |
| 「読むことは故人との対話である」「書くことは歴史への参加である」という言葉がある。 |
| 石碑より紙碑を、と自分史を本にする人も多い。お墓に石碑を建てるのもよいが、地域社会 |
| の中に日ごろから活用できる「かけはしの資料室」とでも呼べるものをつくったらどうだろう。 |
| 私が消えても、あなたが消えても、未来を生きる希望のメッセージがそこにある。 |
| 1996年 平成8年9月22日 西日本新聞「こだま」 より転載 |