学校なくせばどうなるか
                                      内科医  納  利 一  55歳 
 教育とは何か、太古の昔から連綿と続いている人類の生命が、現在を架け橋として未来
へと続いていく。次の世代の生命が輝くためには、先人から受け継ぎ、はぐくんだ知恵と知
識を、メッセージを、次の世代へバトンタッチしていかねばならない。それが教育であろう。
 学校とは何か。教育の手段の一つとして作られたものである。日本の学校は、日本の社
会が、世界的戦国時代に対応するための教育を目指してスタートしている。今や、世界的
戦国時代を通り抜けた人類が、地球的調和時代を構築すべきとき。時代のキーワードは
「共生」へと変わった。
 いじめ問題など、学校教育の健康が問われている。イヴァン・イリッチを思い出した。イ
ヴァン・イリッチ他著、松崎巌訳、脱学校化の可能性ー学校をなくせばどうなるのか?ー、
東京創元社発行。昭和五十四年初版、版を重ね多くの人々に読まれている。
 明日の社会の健康は、教育の健康から。人間の健康は社会の健康、自然の健康、す
なわち地球の健康の中にある。