新たな倫理学エコエティカ
                                 内科医  納  利 一 (52歳)
 なぜ人類社会がこうも病んでいるのか。政治倫理、医の倫理、教育問題、環境
問題など呼ばれ続けて久しい。
 人間が生み出した技術が連関して、人間にとっての新たな環境になっている。
人間が生み出した物や仕組みが人間を含めた自然に対して大きな力を持つよ
うになってきている。この新たな人工的な環境とも調和して、人類生存の未来
を約束するためには新たな哲学や倫理学が必要になる。まだそれが確立され
ていないために人類社会の病気が重くなりつつあるのだそうである。東京大学
名誉教授で哲学者の今道友信氏が新たな倫理学「エコエティカ」を提唱され、
国際的に協力して研究を進めておられる。
 「エコエティカ」を学び実践することは現代に生きる私たちの義務であろう。
今道友信著「エコエティカ」が講談社学術文庫に入っている。このような入門
書の読者会からでも「エコエティカ」の研究会をスタートさせたいものである。
            1992(平成4)年9月29日 南日本新聞{ひろば」 より転載